◎人と、本と、サボテンと、私と。


一冊の古本から引き出された思い出と体験から、
人と人同士の、モノを介したやり取りってすごくいいな~と思ったお話です。

本やお手紙、紙のチケット、フライヤー、カード、小さな贈り物、などなど。

ネットでのやり取りのようなスピーディさはありませんが、物体はずっとそこにあってじっくり味わえる分、ふとした時に時間差でなんらかのアプローチをしてくれたりするんですよね。

じんわりあたたかく、豊かな体験や交流が生まれるきっかけになり得るんだな、と改めて感じた次第です。


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先日、不忍ブックストリートの一箱古本市で「サボテン園芸ー栽培の手ほどきー」という古本を買いました。

初版が昭和42年という、古き良き時代の実用書といった趣き。
著者のサボテン愛溢れる随筆テキストに多くのスペースを取っていて、愉しむよろこびに満ち満ちている。
今時の図鑑や実用書にはないゆとり感で、とっても和みます(^-^)


さて、
こちらをウフウフと眺め読んでおりましたら、本の中で懐かしいサボテンに再会しました。

私が高校生のとき、初めて「自分のお小遣いで買った鉢植え」と同じサボテンが載っていたんです(^-^)

たしか夏休みの部活帰り、高校の最寄り駅近くのお花屋さんで買った鉢植え。
なんとも言えない不思議なフォルムがかわいくて、スケッチもたくさんしたなぁ。

とはいうものの当時はさほど植物好きではなかった私、しばらく愛でたら忘れちゃって。

完全にお世話を母親任せにしていた冬のある日、リビングのテレビのところで唐突にお花が咲いたんですよねー。すごーくびっくりして、感動したのでした。。。


こんな些細な、ずっと忘れていた昔の記憶が、
令和元年5月に、昭和の古本の一頁からパタパタパタッと呼び起こされたんです。

20年以上前に見た、紅くて鮮やかでつやつやしたお花をしっかりと覚えていました(^-^)

この本によると、いわゆる「サボテンの接木といえばこれ」みたいなもののひとつらしい。
ふむふむ、そうだったのね~!
当時はこういう種類のサボテンなんだと思ってました。


思わぬところで、思わぬものとの再会。
そして、高校生のときと違って「植物大好きな私」として出会い直した。
なんていうか、それがすごーくうれしくて(^-^)
一冊の本からの体験って、とても豊かだなぁって感じたのでした。


そしてそして。
この本を購入した一箱古本店が、大切な友人の出店したところだった、、というのもうれしいポイントでして。

本を売ってくれた友人、
この古本市をアナウンスしてくれた友人、

という縁ある人々のおかげで本が手に入ったし、
さらには

この本を友人に売った人やお店、
この本を執筆した方、
この本を世に出した出版社、
サボテンを買った高校生の私、
その時のお花屋さん、
サボテンの世話をしてくれてた母親、
あのとき咲いたお花、
などなど、、

関連して思い浮かぶ人とモノ、ぜーんぶありがたくて^^
非常にじんわりしております。


こんなロングスパンな出会いや再会、交流は、モノを介した体験ならではかなぁと思うのです。

モノを所有すること、流通させること、作ること、保持すること、、いろんな関わり方がありますが、
そのいろんな経緯を経たモノに触れることが、
「人同士の素晴らしい営み」そのものを手に取るような感じ。


こんな風に、大切なモノを介しての心あたたまる交流を重ねて生きていきたいなぁ。

みなさまにはこんな体験はありますか?
お会いした時に、ぜひお聞かせくださいね^^


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